コラム:薬と毒
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漢方薬には「体質改善に効く、身体に優しい自然のもの」というイメージが一般的かと思います。
しかし、扱う側からすると、そうした一面はあっても、それが全てだと思って服用するのは危うさを感じることがあります。
例えば、有名な生薬に「附子(ぶし)」があります。これはトリカブトという猛毒植物を加工し、毒性を抑えたものです。
ピタッと合う場面では命を救うほどの働きをしますが、誤った使い方をすれば、ほてり、のぼせ、動悸など、身体が異常に熱を帯びた状態を招きます。
それほど慎重な取り扱いを要する生薬ですが、緊急時にはこれほど強力なものを使わなければ、救えない命もあります。
強力な生薬が数多く登場する「傷寒論(しょうかんろん)」という、東洋医学に携わる人なら誰もが知る名著があります。
この本は、作者の親族が流行病に冒され、次々と亡くなってしまったことを嘆き、「どうにか命を救う方法はないか」と心を痛めた結果、書き上げられたものです。
当時の切実な状況から、強い生薬が記されているのも納得がいきます。
「毒性学の父」パラケルススも、毒と薬の違いは「用いる量」にあるという言葉を残しています。
漢方薬を服用していく中で、患者さんの体調も変化していきます。
専門家とこまめに相談しながら服用されることをお勧めします。